テールアルメ工法は、1963年にフランスのアンリー・ビダール(H.Vidal)氏により考案された補強土壁工法です。日本では1972年に日本道路公団の中央自動車道で初めて採用されました。補強土の中で一番歴史を重ねた工法であると言えます。
アンリー・ビダール(H.Vidal)氏は砂山に松葉を差し込むことにより、ただの砂山より高い砂山が作れる事を発見しました。その後この問題を考え続けた氏は、『土と補強材とで構成され、粘着力のない砂で出来た盛土中に補強材を順次層状に埋め込むと、補強材と土の間に働く摩擦力により粘着力が加わったような盛土材料となる。』という結論に達しました。この性質を利用して構築された盛土をテールアルメと名付け工法が誕生しました。
(1)設計の基本
テールアルメ工法は、土とストリップ(補強材)から構成される複合材料構造物です。テールアルメ壁工法の原理は、粘着力のない粗粒土でできた盛土中に、抗張力の高い補強材を順次層状に埋めこみ、砂質土の土工用材料としての唯一の欠点とも言えるせん断抵抗における粘着力項の欠如を、補強材と土の間に働く摩擦力により補い、あたかも粘着力が加わった様な材料として挙動させて構築される盛土です。
テールアルメ壁工法の設計の基本は下記になります。
(2)設計の手順
設計手順のフローチャートを下記に示します。
(3)テールアルメ工法の設計に必要な資料
①設計計算に必要な条件
【用途】
道路―国道、県道、市区町村、農林道、高速道路、その他
鉄道―新設工事、線増工事、その他
造成―宅地造成等規制区域内工事、規制区域外工事、グラウンド、公園、その他
【荷重】
上積荷重の種類と大きさ
【設計水平震度】
地震時の検討を行う際に必要です。地盤種別から設計水平震度の標準値を設定し、地域別補正係数を乗じて決定します。
【盛土材料】
内部摩擦角(Φ)、単位体積重量(γ)、平行して、盛土材の工学的性質の把握・現地材料を適用することの可否の判定・鋼の腐食に対する安全性の確認を行います。
【下部地盤】
外的安定検討(円弧すべり、沈下計算)を行う場合には下部地盤を判断出来る資料(ボーリング柱状図、土質調査報告書、圧密試験の結果等)が必要となってきます。
下部地盤を判断出来る資料が見当たらない場合には付近のボーリングデータを用いて円弧すべりの検討を実施する事もあります。
判断しかねる場合には弊社の担当までご一報下さい。
②設計図面に必要な条件
・ 図面:平面図、横断図、縦断図、付帯構造物の詳細図、その他
・ 現地条件:用地境界線、埋設物、構造物の有無、掘削の制限等
(1)適用範囲
最大壁高20m程度以下となっております。 これ以上の高さにつきましては別途検討させていただきます。
(2)使用可能な盛土材
細粒分含有率が25%以下の土質材料が盛土材料としての推奨になります。
また、細粒分含有率25~35%の土質材料については、下記の方法で使用します。
① 材料自体は無処理とするが、盛土材料に関する設計諸定数を見直す方法
② 補強材周辺の土層部分を粗粒材にするサンドイッチ工法による摩擦効果の改善をはかる方法
③ 石灰等により、脱水、乾燥、粒度調整等の処理を行い、土性改良した処理土を盛土材料として使用する方法
また、一部岩ずりも使用可能です。
(3)排水対策
テールアルメの排水工としては法面排水工や地下排水工があります。
①法面排水工
テールアルメ上面からの水の浸入を防ぐため排水溝を設置する。また、周辺の地形状況から判断し、適切な間隔でできるだけテールアルメの壁面に直角に近い角度で横断管を設置します。
②地下排水工
テールアルメの基底部に基盤排水層(排水ブランケット層)を設けることを標準としています。この材料はドレーン材もしくは砂利粗砂(透水係数1×10-5~1×10-4(m/s)程度以上とし、厚さは500mm程度以上としております。)
また、壁面の背面には、ドレーン材料による裏込め排水層を設けるものとしています。層厚は0.5~1.0m程度の幅としています。
(4)1日あたりの施工量
壁面材組立・設置は40.0m2/日、補強材取付は227m/日、まき出し・敷均し、締固めは172m3/日となっております。
(国土交通省土木積算基準平成29年度版参照)
(5)緑化について
直壁においても壁面直上からツタ科の植物を生やすことにより、緑化している実績がございます。
また、斜壁では緑化タイプの工法もあり、周辺の景観に合わせて提案を行う事が出来ます。
工法についてはもちろん、
その他さまざまな質問やご相談を承ります。
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。
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