50th ANNIVERSARY テールアルメ工法 日本導入

世界と日本で長年磨かれてきた
安心安全に暮らし続けるための技術 耐震性、耐久性、経済性に優れた画期的な補強土壁工法

HISTORY

テールアルメ工法の歴史

  • 国内初施工と初実績

    1970年代-黎明期

    テールアルメ工法は、1963年にフランスのアンリー・ビダール(H. Vidal)氏によって考案された補強土壁の技術です。日本では1972年、日本道路公団の中央自動車道で初めて採用されました。この工法は、補強土壁工法の中で最も長い歴史を持つといえます。
    ビダール氏は、砂山に松葉を差し込むことで、ただの砂山よりも高く安定した砂山が作れることを発見しました。この考察から着想を得て研究を続けた結果「粘着力のない砂で出来た盛土中に補強材を順次層状に埋め込むと、補強材と土の間に働く摩擦力により、粘着力が加わったような盛土材料となる。」という結論に達しました。

    この特性を活用して構築された盛土は「テールアルメ」と名付けられ、こうしてこの工法が誕生しました。

  • 国内初施工と初実績

    1970年代-黎明期

    新しい分野への進出を目論んでいたヒロセは、フランスの「テールアルメ工法」への挑戦を定めました。慣れない土地での根強い交渉の末に契約締結に至ったヒロセは、テールアルメ工法の日本での成功を誓いました。

    急峻な山と急勾配の河川に囲まれた日本において、垂直な盛土が構築できる「テールアルメ工法」に価値を見出していました。しかしながら、フランス生まれのこの工法は、土を垂直に盛るという構造が当時の日本ではほとんどなじみがない状態でした。

    垂直盛り土のため用地幅が最少で済む、施工性に優れ工期短縮が可能、熟練工が不要、低コスト、高い擁壁の構築が可能など、様々な特長を備えていたテールアルメ工法。その安全性や利便性を伝えることで、国内での実績を積み重ねることができたのです。

  • 工法の進化と普及

    1980年代-成長期

    1982年に一般財団法人土木研究センターが設計施工マニュアルを発刊し、テールアルメ工法の設計施工基準が整備されました。その後、工法の改良・開発が進み、1992年には仮設用途や緑化に対応した「テラトレール工法」が開発されました。さらに、1998年には補強土壁工法として唯一、宅地造成等規制法に基づく「大臣認定」を取得。これにより、道路だけでなく宅地やグラウンドなど様々な場所で採用されるようになりました。

  • 信頼性と実績の拡大

    1990~2000年代-成熟期

    1998年、テールアルメ工法の採用が順調に増える中で阪神淡路大震災が発生しました。道路や擁壁に大きな被害が出る中、メーカーが自主調査を実施。その結果、ブロック積などの在来工法で作られた擁壁が大きく崩壊する一方で、テールアルメ工法はほとんど損傷が見られませんでした。この調査により、工法の高い耐震性が実証され、信頼性がさらに向上しました。

    その後、1998年の長野オリンピックや2005年の愛知万博に伴う道路整備などで多数採用され、実績は最高潮に達しました。

  • 東日本大震災で実証された耐震性

    2010年代-成熟期

    2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東日本各地に甚大な被害をもたらしました。この地震の影響を受けた1,476箇所のテールアルメ壁を調査したところ、わずかな例外を除き、ほとんどの壁で安定性を損なう変状は確認されませんでした。これにより、テールアルメ工法の高い耐震性が改めて実証されました。

    その信頼性の高さから、福島第一原発の防潮堤や三陸道路の復旧、女川地区の街づくりや学校の高台移転工事など、復旧・復興工事の多くで採用されました。

  • 維持管理・i-Constructionへの取り組み

    2010~2020年代、そして未来にむけて

    近年、社会インフラの維持管理の重要性が高まっています。その課題に対応するため、テールアルメ壁内部の劣化状況を早期発見できる「モニタリングパネル(KDパネル)」を開発。健全性や耐久性の調査が効率的に行えるようになりました。

    また、建設業で深刻化する技能工不足への対策として、現場打ちが必要だった嵩上げコンクリートや基礎部をプレキャスト化。施工性・安全性・品質を向上させたi-Construction対応のテールアルメ工法を開発し、現場の負担軽減と品質向上を実現しました。

    CASE

    テールアルメ工法の実績

    テールアルメ工法は全世界で10 万件以上のプロジェクトで採用されています

    「テールアルメ工法」は、1963年にフランスで開発された技術で、鋼材を用いて土を補強し、垂直の盛土を構築する工法です。開発から約60年の間に、全世界で累計7,500万㎡以上が施工され、多岐にわたる場所や用途で豊富な実績を積み重ねています。

    グローバル実績

    60 年で 10 万件 以上、
    7,500 ㎡以上の施工

    日本国内実績

    50 年で 4.5 万件 以上、
    1,300 ㎡以上の施工

    【海外実績】斜面補強 ティンダリア ウェストベンガル (インド)

    インドで斜面補強対策として施工されたテールアルメ工法。総壁高は130mにも及ぶ。

    【海外実績】バレンチェ・ダンダ埋立地 カトマンズ (ネパール)

    デザインテールアルメ (鉄道)

    高壁高多段テールアルメ (処分場)

    住宅地で採用されたテールアルメ

    曲線施工のテールアルメ

    デザインテールアルメ (終末処理施設)

    SPECIAL
    CONTENTS

    多彩な現場で活躍するテールアルメ

    アイコンをクリックしてみてください。
    実績が表示されます。

    • 多彩な現場で活躍する
      テールアルメ
    • 住宅造成

    • 民間造成工事

    • 中学校グラウンド擁壁

    • 大御堂本堂改築

    • 河川護岸

    • スーパー堤防

    • 調整池1

    • 調整池2

    • 終末処理場用地造成工事

    • 沿岸部1

    • 沿岸部2

    • 沿岸部3

    • バイパス階段設置

    • 橋梁アプローチ

    • 道路改良

    • 道路立体交差

    • 山間部道路新設

    • 砂防堰堤管理道路

    • 両面テールアルメ

    • 山間部道路改良

    EVOLUTION

    テールアルメ工法の技術的進化

    日本の地形や現場のニーズに合わせて進化し続けてきたテールアルメ

    テールアルメ工法は、安全性・経済性・景観性を備えた工法として、時代に合わせた進化を続けてきました。景観性の高い「緑化テールアルメ工法」、宅地造成工事規制区域内への適用が認められた「テールアルメ擁壁」など、日本の地形や現場のニーズに合わせて、さまざまな工法の選択肢を提案することが可能になっています。

    • 国土交通大臣認定擁壁
      「テールアルメ擁壁」

      平成10 年「テールアルメ擁壁」は、補強土壁工法で唯一、宅地造成等規制法施工令第15 条の規定に基づき同令第6 条に規定する擁壁と同等以上の効力があるものと認定され、宅地造成工事規制区域内への適用が可能になりました。

    • 緑化仕様のテールアルメ工法

      テールアルメ工法の構造原理を適用しており、日本各地で採用されています。壁面緑化や天然石積み仕上げが可能で自然と調和することができ、景観性にも優れています。

    • 塩害仕様のテールアルメ

      海辺などの塩害の影響が懸念される地域に建設されるテールアルメには、必要な耐久性が損なわれないよう計画する必要があります。テールアルメの主要部材である壁面材や補強材に対策を行うことで、塩害地域での使用が可能になりました。

    • 景観性に配慮したデザインテールアルメ

      周辺の環境等と調和できるように、コンクリートスキンの表面にはデザイン、カラーリングを施すことができます。

    • 仮設仕様のテールアルメ

      壁面をコンクリートからメッシュパネルに変更することで、コストを抑えることができ、仮設用途としての活用が可能になります。

    EVIDENCE

    テールアルメ工法の耐震・耐久性能

    日本最古のテールアルメ 100 年以上の耐久性を確認

    山梨県上野原市、中央自動車道で50 年前に構築されたテールアルメ工法です。施工後、50 年間が経過したにも関わらず、設計値以上の安定性が確認されています。また、補強材の設計では腐食の速度を年に0.01mm に設定していますが、50 年経過したにも関わらず、設計で想定した60%の腐食しか確認されず、100 年以上の耐久性が確認されました。

    補強土擁壁は貴重な社会資本であり永久構造物です。初期の安定性はもちろん、長期にわたる維持・補修が必要不可欠です。

    1972年施工(50年経過)山梨県上野原市 中央自動車道


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    テールアルメ工法の国内初施工の完成から50年。左は、2021年に実施した追跡調査の様子です。

    維持管理・補修性に優れたテールアルメ工法

    テールアルメ工法は、『補強土(テールアルメ)壁工法設計・施工マニュアル』((一財)土木研究センター発行)で、壁面材の部分補修方法が公的に認証された唯一の補強土壁工法です。
    また、2024年には維持管理ニーズに応える形で開発されたモニタリングパネル「KDパネル」に関する技術資料が、同マニュアルの追補版として発刊されました。
    テールアルメ工法は、安心で安全な強靭なインフラを支えるため、維持管理や補修のしやすさを重視して開発・改良を重ねています。

    • 引き抜き試験により安定性を確認
    • 補強材の腐食進行状況を確認
    • 点検調査・補修

    橋台背面アプローチ部でのテールアルメ の適用課題に対する取組み

    国土技術政策総合研究所(国総研)は、道路橋の橋台背面アプローチ部における設計・施工上の課題を解決するため、(国研)土木研究所、 (一財)土木研究センターと共同研究を実施しました。この研究では、橋台とアプローチ部の動的相互作用を明らかにし、補強土壁の性能検証項目や標準的な試験方法の整理・検証を行いました。その結果、橋台背面アプローチ部の設計・施工における信頼性と安全性の向上が期待されます。

    国総研資料 第1300号「橋台背面アプローチ部等の設計に関する共同研究(補強土壁の検証編)」


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    大規模地震において高い耐震性を証明

    地震や豪雨などが多い日本で、「災害に強い」技術のニーズは、多くの場所で高まっています。当社は、特に震度6弱以上の地震が発生した場合、自主的に現場調査を行い、構造物の健全性を調査しています。これまでに、東日本大震災、熊本地震、能登半島沖地震等の強震度地震が発生した地域で調査を行いましたが、すべての地震において、被害の度合いが小さく経過観測を継続するランクⅠ~Ⅲの合計が98%以上となっており、テールアルメの耐震性の高さが証明されています。


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    • 女川地区
    • 女川地区
    • 宅造テールアルメ-赤崎中学校移転
    • 福島第一原発の防潮堤
      出典:東京電力ホールディングス・提供:東京電力ホールディングス
    • 三陸道路

    2011年3月11日に発生した東日本大震災は、東日本各地に甚大な被害をもたらしました。この地震の影響を受けた1,476箇所のテールアルメ壁を調査したところ、わずかな例外を除き、ほとんどの壁で安定性を損なう変状は確認されませんでした。これにより、テールアルメ工法の高い耐震性が改めて実証されました。
    その信頼性の高さから、福島第一原発の防潮堤や三陸道路の復旧、女川地区の街づくりや学校の高台移転工事など、復旧・復興工事の多くで採用されました。

    NEXT 50th

    これからの50年に向けて

    テールアルメ工法は、その信頼性と実績から、さまざまな環境や用途において重要な役割を果たしてきました。
    私たちは、これからも技術の進化と共に、持続可能な社会インフラの整備に貢献し続けます。
    未来の世代に安全で豊かな生活を提供するために、私たちは引き続き革新を追求し、地震や自然災害に強い構造物を構築してまいります。皆さまと共に、より良い明日を創り上げるために、全力で取り組んでまいります。

    WHAT’s HIROSE

    ヒロセ補強土のテールアルメ工法

    国内直壁補強土市場シェアNo.1!多種多様な実績を誇っています

    全世界のテールアルメ工法の20%の実績は日本国内で施工されています。地震や急峻な山地や谷地、崖地が多い日本国土においては、テールアルメ工法の耐震性や経済性、施工性が認められ、国内導入以来50 年間で、約4.5 万件、壁面積1,300 万㎡(2023 年時点)を超える実績を誇り、日本全国で、安全・安心な社会インフラの整備に貢献しています。1974 年にテールアルメ工法が正式導入されて以来、当社はこの工法の第一人者として、その普及や技術の発展に寄与してきました。

    テールアルメ擁壁|国土交通大臣認定擁壁

    ヒロセ補強土のテールアルメ

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