テールアルメの塩害対策とは?特徴をわかりやすく解説

塩害の影響が懸念される地域に建設されるテールアルメには、必要な耐久性が損なわれないよう検討する必要があります。
テールアルメの主要部材(壁面材・補強材)の対策方法についてご紹介します。
>>補強土壁テールアルメ工法の詳細はこちら
目次
1.コンクリート製壁面材(スキン)の塩害対策について
壁面材表面からコネクティブまでの必要かぶりを十分に確保します。
・製品内で鉄筋の設置位置で確保する
・壁面材の厚さを増やす
鉄筋自体の防錆する方法
・塗装鉄筋(エポキシ樹脂)を使用する
等があり、対策のグレードに応じてこれらを組み合わせます。
(1)必要かぶりの確保
コンクリート壁面材に必要なかぶり値の考え方として、道路土工擁壁工指針「塩害に対する検討」によれば、塩害影響が懸念される地域に建設される擁壁の鉄筋コンクリート部材の考え方は「道路橋示方書・同解説 Ⅲコンクリート橋編」の「塩害に対する検討」に準じて良いと示されています。

道路橋示方書・同解説 Ⅲコンクリート橋編より
(2)鉄筋被覆
エポキシ樹脂塗装鉄筋の仕様については「エポキシ樹脂塗装鉄筋を用いる鉄筋コンクリートの設計施工指針」(土木学会H15年11月)を参考にしています。
(3)壁面材厚さ
テールアルメのコンクリート壁面材(スキン)は標準で140mmと180mmの2種類があり、必要なかぶり値に応じて壁面材を選択することが可能です。

2.補強材(ストリップ)の塩害対策について
補強材の対策として、一般的な亜鉛メッキから必要に応じて亜鉛アルミ合金メッキを行います。
コンクリート標準示方書には環境条件の区分が以下の様に記載されています。
表 7.4.3 鋼材の腐食に対する環境条件の区分
これより環境条件の区分を海岸線からの距離で目安に示せば次の表-1の様に考えます。
表-1 塩害の影響地域
テールアルメの補強材(ストリップ)は施工管理された盛土の土中に埋設されるため、表7.4.2「一般の環境」に分類されますが、土中の塩分濃度については周辺環境等により異なるため「腐食環境」に分類される箇所では壁面から1.0m、またはそれ以上の範囲を、亜鉛アルミ合金メッキを施します。
影響地域別のストリップの土中環境の区分は次の表-2の様に考えます。
表-2 影響地域別ストリップの土中環境
3.塩害対策グレードのご紹介
上記1,2より対策グレードを以下に区分してご提供しています。

4.塩害対策の実例ご紹介
海岸に近接して構築されたテールアルメ工法実績の一部をご紹介させていただきます。
これらの実例はテールアルメ工法が海岸地域においても有用であることを示しています。海岸線近くの環境下でもテールアルメ工法は塩害対策を行うことで、構造物の安定性や耐久性を向上させることが可能です。
5.新しい取り組み「耐塩化物イオン」コンクリート仕様
壁面材のコンクリートを塩化物イオンの浸透抵抗化をする事により、通常一般の壁面規格のまま対応可能となります。※1
※1:出荷場所により仕様が変更になる場合があります。
ハレーサルト※2による塩害対策
(建設審査証明:建技審証第2301号、NETIS:CG-220004-A)
※2:ハレーサルトはランデス(株)の登録商標です。
ハレーサルトは、セメントの一部に高炉スラグ微粉末を使用し、細骨材として高炉スラグを100%用いて凍結融解抵抗性、塩化物イオン浸透抵抗性ならびに硫酸に対する抵抗性等を向上した超高耐久性プレキャストコンクリート製品用コンクリートです。
ハレーサルトのメリットには、次の点が挙げられます。
・表面から塩化物イオンが浸透しにくいため、海水などによる塩害の劣化を防ぎます。
・製品の製造・設計等は従来と同等に扱うことができます。
(ハレーサルト工業会HPへ)
これらの特長により、ハレーサルトは持続可能な建築に貢献し、耐久性と環境への配慮を両立させる素材として注目されています。
(資料提供:ランデス株式会社)
6.まとめ
テールアルメ工法の海岸地域における事例と塩害対策についてご紹介させていただきました。塩害は構造物にとって深刻な問題ですが、ヒロセ補強土はテールアルメ工法による構造物の耐久性向上に取り組んでいます。
参考文献:
国土交通省/「道路橋示方書 コンクリート橋編」、
(公社)日本道路協会/「道路土工-軟弱地盤対策工指針」、
(公社)土木学会/「コンクリート標準示方書」、
国土技術政策総合研究所/「道路橋の塩害対策指針(案)・同解説」、
(公社)日本港湾協会/「港湾の施設の技術上の基準・同解説」、
(株)高速道路総合技術研究所/「設計要領 第二集」
(一財)土木研究センター/補強土(テールアルメ)壁工法 設計・施工マニュアル
より
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