防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策

防災・減災、国土強靱化のための5か年対策と対策事例についてご紹介させていただきます。
※国土交通省ホームページ
(https://www.mlit.go.jp/report/press/sogo03_hh_000254.html)をもとにヒロセ補強土株式会社作成
1.防災・減災、国土強靭化のための5ヶ年加速化対策
令和2年12月、「防災・減災、国土強靭化のための5ヶ年加速化対策」が閣議決定されました。国民の生命・財産、国家・社会の重要な機能を守るため、国土強靭化の取り組みを加速化・深化するため、令和3年度から令和7年度の5年間にかけて事業規模を定めて集中的な対策を講じていきます。
事業規模は、政府全体で15兆円、国土交通省では9.4兆円を目途としており、「激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策(78対策/12.3兆円)」「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策(21対策/2.7兆円)」「国土強靭化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進(24対策/0.2兆円)」について重点的に対策し、災害に屈しない強靱な国土づくりが進められます。
2.重点取り組み施策・対策事例紹介
重点取り組み施策・対策事例について抜粋して事例をご紹介させていただきます。
(1)激甚化する風水害や切迫する大規模地震への対策
激甚化する風水害や切迫する大規模地震への対策として、流域治水対策、港湾における津波対策、災害に強い市街地形成に関する対策、道路ネットワーク機能強化対策等を行います。
〇流域治水対策
流域治水対策とは、河川のあらゆる関係者(国・都道府県・市町村・企業・住民など)が協働して流域全体で行う計画のことで、危険箇所における水位低下対策や堤防強化対策、遊水池整備、雨水・ため池などの治水利用など、地域の特性に応じ、総合的かつ多層的に対策を行い、集水域から氾濫域に渡る地域のあらゆる関係者で水災害対策を推進していきます。
令和7年まで1級河川における整備率73%、2級河川における整備率71%、農業水利施設の整備率100%、未活用の国有地を活用して遊水地・貯留施設の整備率100%が目標として掲げられています。
〇道路ネットワーク機能強化対策
道路ネットワーク機能強化対策では、激甚化、頻発化する災害から速やかに復旧・復興するため、高規格道路の密使リンク解消及び4車線化、高規格道路と直轄国道とのダブルネットワーク化等による強化を推進します。令和7年度における高規格道路のミッシリンク改善率は30%、高規格道路4車線化優先整備区間の事業着手は47%を目標としています。
〇大規模盛土造成地対策
東日本大震災では多くの宅地が滑動崩落の被害を受けました。
被害を受けた宅地の多くは1970年代以前に造成されていましたが、宅地造成等規制法等の改正により技術基準を強化した2006年以降に造成された宅地においては被害が発生していないことが分かっています。
そのため、既存の造成宅地について大規模盛土造成地の有無とそれらの安全性の確認(変動予測調査)、危険性が高い箇所の滑動崩落防止工事などの予防対策を早急に進める必要があります。
(2)予防保全型インフラメンテナスの転換に向けた老朽化対策
予防保全型形インフラメンテナンスの転換に向けた老朽化対策として、河川・道路・港湾・鉄道・空港・公営住宅の老朽化対策等を実施します。急速に進展する施設の老朽化に対し、老朽化に伴う事故や機能の低下を回避しつつ、ライフサイクルコストの低減や持続可能な維持管理を実現に向け、予防保全型の道路メンテナンスへ移行が必要となります。
>>関連事例・実績
構造物補強事例紹介
https://www.hirosehokyodo.com/media/tag/structuralreinforcement
地すべり対策事例紹介
https://www.hirosehokyodo.com/media/tag/landslidemeasures
港湾・鉄道対策事例紹介
https://www.hirosehokyodo.com/media/tag/Airport_Port_Railway
(3)国土強靭化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化の促進
国土強靭化に関する施策を効率的に進めるためのデジタル化の促進として、国土強靭化に関する施策のデジタル化や災害情報の予測、収集・集積・伝達の高度化を行います。連携型インフラデータプラットフォームの構築等のインフラ維持管理に関する対策や無人化施工技術の安全性・生産性向上対策、ITを活用した道路管理体制の強化、防災・減災対策、高精度予測情報等を通じた気候変動対策、防災情報等の高度化対策等を実施します。
3.まとめ
近年、気象災害の激化や大規模地震の懸念が急速に高まっています。
また、高度成長期以降に集中的に整備されたインフラが今後一斉に老朽化することが予想されているなどの状況から、防災・減災、国土強靱化の取り組みは急務となっています。
現在取り組まれている様々な対策を効率的に進めるためにも、デジタル技術の活用をより柔軟に取り入れ、平時から大規模災害に対する備えを行うことが重要です。
「最悪の事態」を念頭に置き、大災害から人命や財産を守る準備をし、強さとしなやかさを備えた国土、経済社会システムを構築する必要があるのです。