EPSとEPルートパイルによる道路拡幅事例のご紹介
目次
国土交通省交通安全対策の取り組み
国土交通省では平成29年に対策必要箇所を3,125箇所選定し、事故危険箇所における対策は、平成27年に定めた社会資本整備重点計画において、「平成32年度末までに対策実施箇所における死傷事故件数について約3割抑止」という目標を掲げて取り組んできました。
地域住民への注意喚起や事故要因に即した対策を重点的・集中的に講じることにより効率的・効果的な交通事故対策を推進するとともに、完了後はその効果を計測・評価しマネジメントサイクルにより改善を図る取り組みを行っています。
※出典:国土交通省 https://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/sesaku/torikumi.html
例:自動昇降する車止めで、通学路等の通行規制時間の通過交通の進入を排除
[ボラードが下降した状態]
[ボラードが上昇した状態]
※平日7:30-8:15(通学時間帯)に通行規制
出典:国土交通省https://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/sesaku/pdf/2-2-5a.pdf
令和3年度、国土交通省は、踏切や通学路等における交通安全対策の推進として1,930 億円の予算を設定し交通安全確保のため、ビッグデータを活用した生活道路対策や踏切対策、無電柱化等の道路交通安全環境の整備等を推進しています。
【令和3年度重点施策】
・ 通学路と未就学児が集団で移動する経路の総合的な交通安全対策の推進
・ ビッグデータの活用による生活道路のエリア等の効果的な交通安全対策の推進
・ 自転車活用推進計画に基づく安全で快適な自転車利用環境の創出
・ 立体交差化等の対策に加えて周辺の迂回路整備等も含めた総合的な踏切対策の推進
・ 無電柱化推進計画に基づく通学路等における無電柱化の計画的な推進
・ 歩行者の立入対策、逆走対策、暫定2車線区間の4車線化等による高速道路の安全対策の推進
・ 高速道路の休憩施設(SA・PA)の駐車マス不足解消等のサービス水準の向上
出典:国土交通省 令和3年度予算決定概要
交通安全対策推進における課題
私たちが安心して暮らせるようにするため、歩道の整備や狭くて車両が通りづらい道などを改善する道路の整備など、既存の道路を改めて整備し直して利用者にとってより安全なものにしていく必要があります。
しかし限られた狭い用地で計画するにあたり必ずと言って良いほど施工の制約が伴います。例えば道路拡幅で擁壁や張り出し歩道などでの拡幅を計画する際、「大型重機の施工スペースが確保出来ない」「構造物掘削影響が大きくなり交通規制が必要となる」等の制約を伴うケースが多く、難易度の高い工事となります。
EPSとEPルートパイルによる道路拡幅
上記のような課題を解決するEPSとEPルートパイルによる道路拡幅の提案事例をご紹介します。
通常の構造物での道路拡幅を考えると大きな掘削がでてしまい用地の余裕がないと施工できません。
EPルートパイルをEPSの基礎機能として使用することで構造物の掘削を最小限に抑えることができ、また狭いスペースで施工が可能となります。狭隘な現場や道路の通行止めが出来ない現場においてEPSとEPルートパイルの採用が増えてます。
・EPルートパイル工法の特徴
EPルートパイル工法とは、グラウトのEP(エクスパンション)効果とパイルの網状配置効果により、地山と補強材の一体化をはかる地山補強土工法です。単管足場とボーリングマシン等の小型の機械で施工できるため、高所や狭所、急傾斜面等においても最小限の用地で施工ができることが特徴です。
>>EPルートパイル工法概要
https://www.hirosehokyodo.com/guide/eprootpile.html
・EPS工法の特徴
EPS工法とは、大型の発泡スチロールブロックを盛土材料として積み重ねていくもので、材料の軽量性、耐圧縮性、耐水性および積み重ねた場合の自立性等の特徴を有効に利用する工法です。人力施工ができ、施工期間が短く、軟弱地盤上、急傾斜地、狭隘な場所など、大型重機の使用が難しい箇所でも施工可能です。
>>EPS工法概要
https://www.hirosehokyodo.com/guide/eps.html
EPSとEPルートパイルによる道路拡幅 採用実績紹介
施主:関東地方整備局 横浜国道事務所
現場:H30 国道1号藤沢バイパス出口交差点改良工事
施工時期:2019年11月~2020年1月
採用工法:EPS・EPルートパイル工法
神奈川県藤沢バイパスにおける採用実績です。
当現場はバイパス工事の道路改良であり、交通量が非常に多い現場でした。
下図の左のケースのように補強土壁工法で検討すると掘削が片側の車線にまで入り、交通規制を行う必要があります。EPSとEPルートパイルの組み合わせにより掘削量を最小限に抑えることができ、既設構造物を活かした施工が可能となりました。また両工法とも大型の重機が不要のため、狭いスペースで施工が可能となりました。
施主:熊本県
施工箇所:県道
施工時期:2020年2月
採用工法:EPS・EPルートパイル
2016年4月の熊本地震で断層の直上に既設のEPS盛土区間があり、路面段差が発生しました。しかし、完全崩壊を免れ、緊急復旧(仮復旧)を施したうち、モニタリングしながら交通開放して生活道路の役目を保ちました。迂回路を確保できた後に、既設EPSを撤去して基礎地盤をEPルートパイルで補強し、再度、拡幅道路をEPSで本復旧しました。
施主:国土交通省
施工箇所:兵庫県
施工時期:2010年
採用工法:EPS・EPルートパイル工法
兵庫県のバイパス道路のOFFランプ拡幅道路構築に採用されました。
基礎地盤の支持と斜面すべり力の抑止にEPSとルートパイルを併用してます。