水道施設耐震補強に使用された高耐力マイクロパイル

概要
近年多発する地震時に備え、上水道施設の耐震設計が増えてきております。 特に配水池施設は水頭差を利用する為、山間に多く設置されており、耐震不足により麓にある住宅へ被害を及ぼす恐れがあります。 また施設へ行く道は狭く、大きな荷重を想定していない為、施工性の良いものが望まれます。
水道施設耐震補強 高耐力マイクロパイルの適用事例
1.貯水タンク基礎耐震補強
①現場名
東京都亀戸給水施所
②現場概要
1970年に完成した東京都の亀戸給水所は、この地域への排水を担い、本郷給水所等へ送水機能も備わっており、震災時にはこの地域一帯の排水拠点となる重要な施設でした。本工事は、この施設の重要性を考え、兵庫県南部地震クラスの大地震にも耐えるよう配水池の耐震補強を実施するためのものです。
③課題
配水池外周からの補強杭施工は埋設排水管や用地境界等の問題から困難
④採用理由
・内部空頭約7ⅿ,支柱間隔約4mの狭隘な半地下構造物内で施工可能
・躯体内部からの杭施工となると、既設床板に開口部を開けなくてはならないので、床板への影響を極力小さくすることができ、斜杭対応で(直杭に比べて)必要杭本数を減らすことが可能
2.給水所配水池基礎耐震補強
①現場名
六供浄水場配水塔耐震補強工事
②現場概要
本工事は昭和8年に完成し、現在も現役で使用されている岡山市のシンボル的存在の建物です。基礎地盤は層厚7ⅿ程度の低強度の砂質土層であり、現況は直接基礎となっているため、耐震照査、地震時に不安定化するという結果が得られました。基礎の補強方法としては、既設構造物の外周から基礎の補強方法がとられ、高耐力マイクロパイルが採用されました。
③採用理由
・既設構造物に近接して杭の計画・施工が可能
・基礎部に設置されている埋設管を避けた杭配置が可能
・必要施工ヤードが小さく大型重機による施工が不可能である
・民家に近接しているため、騒音等を抑えたい